信念を作り上げるために褒め続ける
信念と現実を引き離す
「シリコンバレー式 超ライフハック」デイヴ・アスプリー著(ダイヤモンド社)という本は細胞内のミトコンドリアをコントロールして、生産性を高める数多くのテクニックを紹介している本です。
運動・睡眠・テクノロジー・休息・感謝・瞑想・食事など様々な分野から、人の能力を高めていく方法を数多く紹介しているのですが、その中のひとつとして、信念や意識について紹介されていました。
信念や意識については、ヴィシェン・ラキア二という瞑想の専門家のエピソードが紹介されていました。
ヴィシェンは幼少期の体験によって、自分を醜いと思い込み、長らくその意識が自身を苦しめてきたそうです。
人間の精神に定着していくストーリーや信念は、7歳になる前に定着するそうです。
その信念が自分を大切にするものではなく、自分を貶めてたがをはめるようなものであったら、人間は可能性が限定されてしまうのです。
信念の問題が根深いのは、信念と現実が混同してしまうからです。
よって活き活きと社会を生きていくためには、必要なのは「私の信念は私自身ではない」と認識するということなのです。
自分を制限する信念をもっと役に立つ前向きな信念と取り替えることで、信念が変わっていくのです。
ひきこもりだった私
その前に信念と現実を混同していたエピソードがあるので、その話を紹介したいと思います。
まず私は十代から二十代前半にかけてひきこもり生活を送っていました。
かろうじて外出はできていたのですが、とにかく人に対する恐怖心があってコミュニケーションをとることができません。
その経験で私の内面に培われたのは弱々しい自分、社会の人々と対等にやっていけないと思っていた劣等感でした。
仕事もせずに家にいる自分に自責の念がありました。
人としての価値がないと思っていたので自身に対する内的言語は否定的なものばかりでした。
そこから少しずつ社会に出て経験を積んでいくことで、社会に出て働いている人たちはさほど自分と変わらないという認識を持つようになりました。
そのうえで、意図的に私は自分自身に対する内的言語も変えていったのです。
26歳のときにパートで働き始めました。
そこは知的な障害を持たれた方達が作業をしており、私の仕事は彼らの作業をサポートすることでした。
現場で彼らの作業を見守っていると、遠くから視線を感じました。
その視線は作業所の上司にあたる人の視線でした。
私は彼にずっと監視されていました。
そして、仕事っぷりが悪いと思われているとも思っていました。
しかしそれが1ヶ月ほど続いたときに急にある考えが思い付いたのです。
「あれ?俺のこと見てる?・・・・・・そう思い込んでるだけ?」
するとこの1ヶ月、私のことを監視して評価している上司は実は私のことなど見ていないのではないか?
見られている・・・。仕事っぷりが悪いと思っている・・。
そうではなく、それは私がそう思っているから・・と気付いたのです。
すると、他にも他人が私のことをダサいと思っている、ひきこもり生活を送っている社会不適合者だと思っている、見下している、これらもすべて私がそう思っているのではないか・・と思ったのです。
この体験はとても大きくて、私をこれまで苦しめていた「人の目」という呪縛から始めて解放されたのです(完全に解放されたわけではありません。徐々に解放されていく感じです)。
私の頭の中で生み出していた思い込みが、上司が思っていることと混同していたのです。
信念は取り替えることができる
「シリコンバレー式 超ライフハック」の信念の章について読み進めてみると、重要なことが書かれていました。
僕が自分に語りかけていることは、それが本当かどうかも、僕の合理的な脳がそれを信じているかどうかも、じつは重要ではない。
ポジティブな信念は、文字どおり成功をもたらす。成功物語を自らに語り聞かせることで、脳はそれを信じ、それにのっとって行動する。逆もまたしかり。
「シリコンバレー式 超ライフハック」デイヴ・アスプリー著(ダイヤモンド社)
ということは、自分の脳には肯定的で前向きな言葉を語りかけて聞かせないといけないのです。
だから多くの本で、自分の口から出る言葉の重要性が説かれているのです。
昔のように否定的な言葉を吐き続けていたら、私は自滅な人生を送り続けたままでした。
信念は努力の結果も左右し、いくら努力しても信念で自分の人生が悲惨なものになると思っていたら、人生は落ちぶれたものになってしまう。
信念は言葉によって作られていき、人は信念にのっとった行動をとっていくわけですから、自分自身に褒め言葉を与えることや前向きな言葉を口ずさむことは、信念をつくりあげる作業ということなのです。
だから私は自分自身を褒める必要があるのです。
毎朝5分間タイマーをかけて自分を褒める
自分を褒めるということに着目したのは藤山勇司さんの「自分をホメればすべてがうまくいく―夢をかなえ、幸せをつかむ「セルフ・コーチング」術」(実業之社出版)がきっかけでした。
この本は著者の藤山勇司さんがうつ病から立ち直るうえで実践した「自分ホメ」を紹介している本です。
パート時代の上司からの監視の経験を経ても、私は他人と自分を比較することが多かったので、それを克服するために自分を褒めて内的な言語を肯定的にしていこうと思いました。
それで自分を褒めるというタスクを実践していこうと思ったのですが、定着しませんでした。
そこで自分褒めを自分のものにするために、行動のきっかけ作りとなるトリガーを明確にしました。
早朝に私は冷水シャワーを浴びるのですが、そのときに5分間タイマーを設定して、思いつく限り自分がすごくて素敵な存在であるということを語りかけるようにしたのです。
真冬の冷水はかなりこたえます。
浴びている時に前向きな言葉を吐き続けていないと気持ちで負けてしまいそうになるのです。
早朝の5分間。
そして冷水シャワー前後に自分を褒める。
ここまできっちりと設定すると、続けられるようになったのです。
ただ自分を褒めるというのは、メンタルヘルスを保つだけではないのです。
脳に語りかけて、自分の人生を変えていくための作業なのです。